各経費の決済をビジネスカードへ移行すれば、いろいろなメリットがあります。公私の区別が明確になり、経理処理の一本化もできます。
税務申告の際にも、経費用のクレジットカードなら経費申請や会計処理がしやすく便利です。またカード会社から様々なサポートが受けられます。
法人用カードは2つの視点で審査される
法人用といっても、やはり代表(法人経営者)である経営者個人も審査の対象になります。
クレジットカード会社にとっても法人(会社)の信用はさることながら、経営者個人の信用も大きなポイントとなってきます。
信用のリスク
取引先が倒産して売上債権の全額が回収できなくなると、大きな損失が出てしまいます。カード会社にはこのリスクが、クレジットカードの申込者である会社・個人に対してあり、申込者の申請をもとに支払い能力があるか、貸倒れをしないかを審査する必要があります。
Credit(クレジット)を日本語に訳すと名詞「信用」、動詞「信用する」という意味です。この「信用」を基に、カード会社と利用者の間に契約が結ばれています。
信用を与える与信
そこで、申込者に必要なのは信用リスクがあるカード会社に対して信用を与えるということです。一般には「販売先に対して商品の代金を回収するまで信用を与えること」を「与信」といいます。
カードを利用した場合、正確には代金はカード会社が立て替えてくれています。例えば購入した商品は、利用者が支払い終わるまではカード会社に所有権があります。利用代金の支払いが終わるまでは真の意味では自分のものではありません。
法人(会社)としての審査基準
あなたが初めての会社と新しく取り引きを始めようとする時、相手の会社の何を見て信用できるかを判断しますか? 個人であれば見た目や経歴・プロフィールなど、会社であればその会社の業歴や規模などを参考にします。
カード会社も、信用するに値する会社なのか、倒産する恐れはないのかなど、いろいろな項目から審査します。では、どのような審査基準があるのかそれぞれの観点から見ていきましょう。
会社の業績
個人の収入にあたるのが会社の業績です。カード会社からすれば契約した会社が倒産すれば、ただちに損失につながりますので、「業績」は大きなポイントになるでしょう。
従業員数
個人であれば扶養する家族がいるのか否か、独身なのかを申請する必要があります。会社においても、何人の従業員を抱えているかによって、会社の規模が推測できます。
株主構成
会社には様々な業態があり、株式会社の他に「有限会社」「合資会社」「合名会社」など、株式を発行していない会社もあります。
ここでは、会社の株に出資する株主を個人の貯金に例えて、自己資本比率という観点で見てみます。
自己資本比率
会社の「資金力」は「自己資本比率」を見るとわかります。会社の資金が十分あるかどうかで、事業の展開など経営の選択肢の可能性が広がります。
しかし、十分な資金があったとしても借入れが多い場合はどうでしょうか。資金力が強いかどうかが、会社の力を見る資料となります。
求められる安定した経営「業歴」
「業歴」とは事業者・個人事業者の事業歴のことです。個人であれば会社への勤続年数が判断材料になりますが、会社でも継続して事業を行ってきたということが信用につながります。
業歴が長ければ、それだけ安定し、継続して事業を続けている会社だという判断材料になるのです。
会社の所在地も大事
個人であれば、申告した住所に本人がちゃんと住んでいるかは大切な事項です。会社でも、会社の所在地にその会社が存在しているかは重要事項です。頻繁に移転したり、商号変更など繰り返していれば、怪しい会社とみなされます。
借入状況
カード申し込みの際に、「借入状況」を申告する必要があります。法人なら、会社の借入れ、負債に当たります。債務超過に陥っていてないかで、審査に影響が出ます。
事業融資やビジネスローンに素早く対応できるビジネスローン
個人であれば年収の3分の1以上の借入れはできませんが、法人となればその制限もなくなります。
取引先状況
どのような企業と取り引きをしているのかも、会社の将来性や信用性の目安になります。
健全な経営活動を行っているかの目安「評点」
「評点」とは、企業が健全な経営活動を行っているか、安全な取り引きができるかを第三者機関が100点満点で評価したもので、新規取り引きをする時の判断の参考になるものです。
評点の項目は?
帝国データバンクの場合、「評点」の項目は、業歴、資本構成、規模、損益、資金状況、経営者、企業活力と7つあります。「評点」が高ければ高いほど優良企業ということになります。
評点は取引基準に活用されることが多く、「評点」がついていると円滑に取り引きができる要素となります。
法人経営者個人としての審査基準
法人用のクレジットカードの契約者は、法人経営者や個人事業主ということになります。会社の信用はもちろん個人の信用も重要になってきます。
信用情報調査機関で情報を共有
クレジットカードの申し込みやキャッシング利用などをしたことがある人は、信用情報調査機関に情報が登録されており、新たな申し込みの際は、過去の利用履歴や返済状況などを照合され、チェックされます。この人は本当に返済ができる人物なのかを、総合的に判断します。
クレジットヒストリーが重要
信用情報調査機関には、個人の信用情報が登録されています。情報の種類によりますが、クレジット関係であれば契約期間中はもちろん、契約終了後も5年以内は登録されています。
情報開示請求をすると、自分でも過去24ヶ月の返済履歴(クレジットヒストリー)を知ることができます。きちんと毎月返済ができているかどうかは、重要なポイントになります。
他社での借入件数
借入れ件数も、前出の信用情報調査機関で照合されますので、虚偽申告は無駄です。虚偽申告は本人の信用も落としてしまいます。申告をする際は、間違った情報を書かないように気をつけましょう。
年収に対する借入額の割合
借り過ぎや貸し過ぎを制限するために、平成22年に「改正貸金業法」が施行され、貸金業者からの借入総額が年収の3分の1までとなりました。そのため個人事業主も、規制を超える金額の場合は決算書などの書類が必要になります。
複数個所の借入れをしている場合は、しっかり自分の借入額を把握することが必要です。住宅ローンに関しては、住宅ローンの審査が通っているということで、それだけの「返済能力」や「信用」があるとみなされます。
過去に返済事故がないか
一番重要なことは、申込者の返済能力、信用性ということなので、前述のクレジットヒストリーは重要なポイントです。毎月のきちんとした返済実績があれば信用度は高くなります。
信用情報の中に、61日以上または3ヶ月以上の支払いの遅れがあると「異動」の表示が出ます。いわゆる返済事故になりますが、この表示は返済が済んだ後も情報保有期間まで残ってしまいます。
まとめ
いかがでしたか? 法人用クレジットカードは、経営・事業活動を行っていく上でメリットがたくさんあります。経費支払いを電子データ化して会計ソフトにそのまま取り込むなど、経理処理の手間が省けます。
また、各カード会社によって様々な特典もついてきますので、利用しない手はありませんね。スムーズに会社経営をしたいと思っている方は、ビジネスの力強い味方となる1枚を見つけて、ぜひ申し込みをしてみてください。